土地屋のタワゴト

□第7回 土台敷き込みとチェックポイント 2007年3号

 こんにちは、田中です。この原稿を書いているのは、ちょうど統一地方選挙が終わった翌々日なのですが、東京都知事選挙を初め、選挙期間中の報道と選挙結果にかなりのズレがあるケースが目立ちましたね。これは、「願望」と「真実」を混同した結果ではなかったでしょうか。私も、公の場で文章を書く以上、気を付けたいものです。
 さて、今回は「土台敷き込みとそのチェックポイント」です。この工程には、大きく分けて2種類の施工方法があるのですが、我々の採用している方式に偏らない、「真実」を書く事を心掛けたいと思います。
 では、本題。木造住宅の土台敷き込み段階には、前述の通り大きく分けて二つのパターンがあります。
 第1は、120mm角程度の土台を基礎の上に乗せ、同程度の太さ大引きを土台と接合して、更にその上に根太と呼ばれる木(45mm×60mm程度)を乗せて、その上に初めて12mm程度の板(ベニヤ板を想像して下さい)が来るパターン
 第2は、根太を省略し、28mm程度の板(剛床−ごうゆかorごうしょう−厚いベニヤ板だと思って下さい)を土台・大引きの上に直接乗せる方法です(ネダレスと呼びます)。
 どちらの方式でも、床下には断熱材を設置する事が普通です。
 最近はその施工性から、後者(ネダレス方式)を選ぶ会社が多いのです(我々も後者を選んでおります)が、ネダレス方式には、一つ大きな欠点があります。それは、柱を立てる前に剛床を張らなければならないことです。つまり、屋根が出来る前に剛床及びその下の断熱材を設置しなければならず、上棟−屋根完成までに雨が降ると床が濡れてしまう事があるのです。材料自体は乾けば問題ないですし、ブルーシートで雨を避けるのですが、多量の雨が降ると床が湿って変色するなど、見た目が非常に悪くなりますし、断熱材の間に水が溜まると、床下からそれを排除しなければなりません。
 反面、根太を使う工法ですと柱・屋根の施工後に床を敷く事が出来、雨の影響を極限まで避けられるのです。しかし、こちらもネダレス方式に比べて床鳴りの心配が大きい、という欠点があります。
 ご自宅をお考えの方、建築中の方は、施工業者がどちらの方式で工事をしているのかチェックして、根太有りの方式なら床板がキチンと留められているかに注意してみてください。ネダレス方式なら、雨の少ない時期に土台敷き込み→上棟の時期をするように調節して貰うと良いでしょう。
 今からご契約をされるなら、梅雨前に基礎のコンクリートを施工して貰って、梅雨の間を基礎の養生期間に(意外かもしれませんが、コンクリートを固めるには水分が重要なのです。反面、流し込む段階で水を混ぜすぎるのはご法度。コンクリートの不思議な所です)すれば、良い基礎・良い土台が出来るのではないでしょうか。
 では、今回はこの辺で。次回は上棟時のお話です、それではまた。



□第6回 基礎工事、コンクリ固まるまで1週間 2007年2号

 こんにちは、田中です。3月にして、外は汗ばむ程の陽気ですが、皆様お元気でしょうか。私は今、上棟式を終えたその足で原稿を書いています。家を建てたことのある方はご存知だと思いますが、上棟式とは、屋根の一番上を支える木材(棟木と言う)を組む時に、つつがなく棟を上げられたことを感謝し、今後の工事の安全を祈る儀式の事です。この日に初めて建築の経過を御覧になるお客様も多い為、現場担当者にとっては緊張の一日といえます。
 しかし、住宅建築は基礎着工から始まり、上棟までに少なくとも一月程度を要します。そして、その間になされる基礎工事・土台敷き工事は、床の傾きやシロアリの発生、耐震性能といったテレビで人気(?)の住宅クレームに大きく関わっているのです。今回は、建物シリーズの第1回目として、基礎工事のお話とこの工事のチェックポイントをご紹介致します。
 因みに、注文住宅を建てる場合、契約→プラン決定→地鎮祭→基礎着工→土台敷き込み、という流れで建築が進んでいきます。会社によって対応は違いますが、家の大きさや配置の変更はプラン決定まで、建具の色の変更等は土台敷き込みまでに伝えておくと、工事現場に混乱をきたす事は少ないと思います。
 では、本題です。基礎工事とは、建物の図面上の位置を現場で実際に確定し、コンクリートで家の基礎を造る工事です。全て外作業になる上、木造建築でも鉄筋やコンクリートを使って作業する為、暑さ寒さや体力面で非常にキツイ仕事であると言えます。また、家の配置・高さ決定には測量の知識が必要であり、基礎の出来は耐震性・床の傾きに反映する為、体力・知識・経験が必要となる工程です。
 基礎工事では、仕上がった基礎の上(天場)が水平かどうか、養生期間(コンクリートを流し終わった後、固まるのを待つ期間)が取れているかが重要です。水平は水平器(ホームセンターで売っている60cm位の物、2000円前後)で測れば判ります。目で見て判るほど傾いていたり、余りにも表面が汚いようなら、問題があるかもしれません。また、養生期間にも注意が必要です。何故なら、コンクリートは流し終わって一日もすれば、見た目では固まったように見えるからです。しかし、内部が使用に耐える程度まで固まるには、最低1週間程度が必要であり、それまでは土台敷き込みを避けて貰うべきでしょう。
 住宅会社から「土台の木材だけなら軽いから大丈夫」と、言われる事もありますが、土台はボルトとナットで基礎と固定される為、基礎には強い引張り力がかかります。引渡し日の心配も有るでしょうが、ここで時間をかけておく事が、丈夫な家の為に非常に重要なのです。
 では、今回はこの辺で。次回は「土台敷き込みとそのチェックポイント」です。



□第5回 不動産投資のメリット 2007年1号

明けましておめでとう御座います(ですよね?)、田中です。最近(コレを書いているのは12月中頃です)、ノロウィルスによる食中毒が多発していますね。大流行の煽りを受け、私の大好きな生牡蠣の出荷が減少しているそうで、この時期無性に食べたくなるだけに心配です。
 ところが、世界的に水産業は好調です。欧米でBSEが発生して以降、世界的に食料品として魚介類がブームになっており、輸出に携わる国内業者の収益もうなぎ登り、株式もかなり高騰しております。
 水産業の株式が上昇していると書きましたが、数年スパンで見れば日本の株式市場全体が、上昇傾向にあります。ライブドアショック以降、新興株は振るいませんが、日経平均株価はバブル後最安値の約2.5倍、取引への参加者数はバブル期を越えていると言われています。
 政府は景気回復の結果、と言うでしょうが(それもあるとは思いますが)、株価上昇の背景はそれだけではありません。護送船団と呼ばれ「潰れない」はずの銀行が倒産し、ペイオフ解禁によって「預金は100%安全ではない」ことに気付き、年金問題に危機感を持つ個人が、資産の組み換えを進めているからです。読者の皆様にも「何か投資するべきかな?」「老後の対策が必要かな?」等とお考えの方がいらっしゃるのではないでしょうか。
 さて、投資をお考えの方に私がお勧めしたいのが、不動産投資です(まあ、専門ですし当然ですか(笑))。先日私も、土地付建物を購入したのですが、不動産投資には、節税効果・生命保険効果等、他の金融商品には無いメリットがあるのですが、重要な3つのポイントを挙げるとすれば、定期的に収入が得られること、実物資産であること、そして銀行を利用できることが挙げられます。
 具体的に言うと、土地と建物を購入して第三者に賃貸した場合毎月家賃が入ってきます。不動産屋さんに気長に探してもらえば、年数パーセントから十数パーセントの利回りの有る物件が見つかる筈です。
 そして、株式等のような紙の資産ではなく、不動産の所有権を得ますので、(特に土地は)先ず急に資産価値0になるといったことも有りません。
 更に、株式購入にはお金を貸さない銀行も、不動産となると長期かつ低金利で資金を貸してくれます。例えば、十万円〜一割程度の頭金を用意して残りをローンで不動産を購入した場合、ローン返済と家賃を相殺した差額が月々の収入となります。
 今なら、土地の値段は安価で、逆に家賃はバブルの頃から10%程度しか値下がりしていません。銀行の金利は極端に安く、預けるに虚しく借りるに楽な状況です。
 ただし、手抜き住宅などの危険が無いわけではありませんので、確り実物を確認してから、不動産投資を始めてみてください。目で見て確認できるのも、不動産投資のメリットですから。では、今回はこの辺で。次回はちょっと雰囲気を変えて建物の話、です。



□第4回 焦らずにじっくりが秘訣 2006年12月号掲載

 先日、ニュータウン開発に伴う自然破壊に対抗し、狸が立ち上がるアニメーション映画がテレビ放送されていました。今でこそ、山を削り森を壊すような大規模開発は減ってきたようですが、代わりに今ある古い街並を再構築する「再開発」というスタイルが流行です。六本木ヒルズや防衛庁跡地の再開発は有名ですね。
 さて、開発が行われるからには、「そこに住みたい」「商売をしたい」人の需要があるのですが都会と田舎では若干事情が違っています。
 東京の再開発は「既に使える土地がない」から行われます。既存の非効率な街並や、官公署から払い下げられた土地に高層ビル・マンションを建てて利用するわけです。
 田舎で開発(特に小規模開発)をする場合の需要層は、 年代前半生まれの団塊ジュニアです。持家用地として「持家は欲しいが、古い町は付き合いが面倒くさい」というニーズに答えられる訳です。では何故、持家が求められるのか。
 ある住宅会社が行ったアンケートによると、団塊ジュニア世代の %強が、持家の方が賃貸住宅より得である、と感じており、 %強が資産を持てる・同じ支払ならローンの方が家賃よりも良い、と感じています。他にも、間取りを選べる事や、設備の良さが持家志向の原因のようです。
 確かに、新築住宅は設備も充実していますし、ローンさえ終われば自分の物になります。誰に気兼ねすることない自宅というのは憧れでしょう。しかも、居住用不動産を持ってローンを組むと、いくらかの税制上のメリットがあります。しかし、第2回で挙げたようなデメリットがあるのも事実です。
 自分の家を持ちたがるのは、日本人の習性のようなものかもしれません。しかしながら、よく考えずに焦って購入するのは危険です。ローンは 年あり、最近は返済が滞れば、ジャンジャン抵当権を実行(不動産を売り払って強制返済させること)してきます。
 金利が上がる、欲しい土地が無くなる…焦る要素は色々ありますが、金利は必ず上がれば下がりますし、土地だってもっといい土地が見つかる可能性はあります。焦らずじっくり、これが家を買う秘訣ではないでしょうか。では、今回はこの辺で。次回は不動産投資のオススメ、です。



□第3回 土地の値段の決まり方 2006年11月号掲載

 こんにちは、田中です。隣国が核実験を行ったようですね。このような政治的・軍事的な緊張による経済の不透明性を地政学リスクというそうです。日本は軍事的緊張の高い地域に存在していますが、嫌でも日本国はこの場所から動けません。
 「移動できない」この特性は土地の特性の一つです。だから「不動」産と言うのですが、土地にはもう一つ大きな特徴があります。それは同じ物が二つは存在しない、ということです。だから、多くの人が同じ物を手にとってみて、価格を決定していくことができない。車なら、どういった性能だから…この位の値段が妥当…といった情報が蓄積されるのですが、土地は違います。
 では、どうやって土地の価格が決まるのか?一つは近くで取引された土地と比較すること、もう一つはその土地はどれだけ儲かる土地なのか?という所から価値を決め、それを元に価格を決定する方法です。
 実は、先のバブルの原因の一つに「日本では前者(周りの取引価格から、土地の値段を決定する)のみが行われてきた」ことがあげられます。ある土地が高く売れれば、周りの土地の価値が上がってしまう、価値の上がった土地は高い値段でないと取引されない…。
 こうして、山の上でも谷の底でもお構いなしに値段が上がっていき、地価高騰が全国に波及していったのです。
 翻って今、東京都心はプチバブルを迎えています。ところが、地方では未だ地価が下がり続けている…これは、後者「どれだけ儲かるか?」にもとづいて取引がなされているからです。
 物が売れそうな商売に良い土地(代表格は東京は中央区銀座)や、住むのに便利な高級住宅地(東京渋谷区広尾なんかがそうですね)の値段は上がり、誰も住みたくない山は二束三文でも取引されない(滋賀で、500坪ほどの山が100万円で出ていました)。
 格差社会と言われますが、土地の格差はバブルを押さえる意味でも必要なのでしょう。皆様も「どれだけ(儲かる)良い土地なのか?」を考えて、慎重に不動産を取引して下さい。では、今回はこの辺で。次回は「何故、持家に憧れるのか?」です。
            ◇
 この文章を、先日亡くなった友人T.Hに捧げます(天国で嫌がってないといいのですが)。ご冥福をお祈りいたします。



□第2回 持ち家は資産か 2006年10月号掲載

 こんにちは。このコラムが載る頃には小泉首相は退陣して、新しい内閣になっているんでしょうね。やっと明りが射してきた日本の景気に水を差さないよう、がんばって欲しいものです。
 景気回復といえば先日、基準地価が発表されました。全国各地点で、地価下落幅が縮小し(岡山県の商業地で %から ・8%に改善)、三大都市圏等では地価上昇に転じました。
 今後「今を逃したら一生家は買えないかもしれない」。こんな心配が、地価を上昇に向わせるでしょう。読者の皆さんの中にも「家賃は払いっ放しだけど、住宅ローンが終ったら(自宅という)資産が手に入るから」と考えて持ち家を検討中の方がいらっしゃるでしょう。
 しかし、本当に自宅は資産でしょうか。辞書的な意味で言えば間違いなく自宅は資産ですが、ベストセラー「金持ち父さん貧乏父さん」と言う本に異論が述べられています。何故か。
 それは、著者が「資産」を「利益を生むもの」と定義しているからです。実の所、この見方は非常に重要です。というのも、家の現実が想像以上に金食い虫だからです。
 まず、新築を建てると家に似合う家具を買いたくなります。サッシやフローリングのちょっとした傷も気になって業者を呼びます。数年経てば、水周りや照明に問題が発生してきます。屋根や壁の目地も交換時期でしょう。 年を超えれば外壁も色褪せてきますし、室内の色も流行から外れてしまいます。家族構成が変われば増築を検討するかもしれません。
 しかも、ローンは 年を超えることが多いのです。だから、著者は家を厄介者=負債と表現しました。金融的な視点のみで考えれば実にその通りです。
 しかし、持ち家は貸家と違って自分の為の自分に合った住まいです。住み心地は比較にならないでしょう。これら、メリット、デメリットを頭に入れ、資金や将来の計画をしっかりした上で賢く自宅を持ちましょう。地価上昇や低金利だけに惑わされてはいけません。



□第1回 あなたの不動産は厄介者? 2006年創刊号掲載

 初めまして。田中彦嗣(ひこつぐ)です。
 以前は東京でマンション販売を、現在は滋賀で不動産業をしております。小さいコーナーですが、ぴりっと辛い内容にしていきたいと思っております。それでは第一回、そもそも不動産とはなんぞや?というお話。
 不動産とは何か?法律的には「土地と建物」です。簡単です。しかし、この定義意外と奥が深い。例えば
 ガラスハウス・農業用サイロ・駅のホーム(屋根付き)・建売住宅は建物ですが、ビニールハウス・イ○バの物置・駅のキオスク・モデルハウスは建物として認められません。
 そして、「不動産」として認められた土地と建物は、登記がなされ法務局で公示されます。そして、公示された所有者は毎年税金を取られる訳です。もってるだけでお金がかかるんです。
 つまり、収益を生まない不動産は、単なるお荷物、家計の厄介者です。
 反対に、収益を生む不動産は重要な資産です。貴方と貴方の周りの人の不動産は、お荷物ですか?資産ですか?一度洗いなおしてみると面白いかもしれません。
=著者プロフィール=
 滋賀県出身、立命館大学経済学部卒業。大学卒業後、東京にて投資用マンション販売に携わる。現在は滋賀に戻り、住宅・アパート建築及び宅建業を行う。座右の銘(と言うか好きな言葉)「初めに商売ありき」


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